「ほら見てください」と明智陽明のマネージャーは肩をすくめて無関心を装った。「ネットユーザーは見どころがないと言っています」
確かに、ネットユーザーは見どころがないと言っている。
でも、見ないとは言っていない。
白鳥春姫と番組制作チームのここまでの人気の高まりを見ると、二人が大きなミスを犯さない限り、番組の注目度は依然として高いはずだ。
最も重要なのは、白鳥春姫の編曲者である藤野信勝が真の芸術の巨匠であり、まだ姿を見せていない作詞作曲家も、その名は音楽界に轟いているということだ。
明智陽明は俯いて、ゆっくりとボタンを留めながら、何も言わなかった。
彼はデビュー時から「貴公子」というキャラ設定で話題になった。当時、白鳥春姫は楽曲で全ネットから批判され、事務所は彼のイメージへの影響を懸念し、検討の末、この機会を見送ることにした。