190 蔹離が互いに抑制し合う、望月家の真の天才

「ほら見てください」と明智陽明のマネージャーは肩をすくめて無関心を装った。「ネットユーザーは見どころがないと言っています」

確かに、ネットユーザーは見どころがないと言っている。

でも、見ないとは言っていない。

白鳥春姫と番組制作チームのここまでの人気の高まりを見ると、二人が大きなミスを犯さない限り、番組の注目度は依然として高いはずだ。

最も重要なのは、白鳥春姫の編曲者である藤野信勝が真の芸術の巨匠であり、まだ姿を見せていない作詞作曲家も、その名は音楽界に轟いているということだ。

明智陽明は俯いて、ゆっくりとボタンを留めながら、何も言わなかった。

彼はデビュー時から「貴公子」というキャラ設定で話題になった。当時、白鳥春姫は楽曲で全ネットから批判され、事務所は彼のイメージへの影響を懸念し、検討の末、この機会を見送ることにした。

「私の責任です」とマネージャーはスマートフォンを見つめながらため息をついた。「あの時、電話をかけさせるべきではなかった」

苦境にある時に助けを差し伸べ、微かな縁から知り合うような感情は本当に貴重だ。

今となっては、『友よ來たれ』が大ヒットしないことを願うしかない。そうすれば明智陽明の心も少しは楽になるだろう。

**

『友よ來たれ』は公式発表されるや否や、注目度は衰えることを知らなかった。

各動画メディアはこの話題に便乗し、儒雅な梅田行長と氷の美人白鳥春姫の二人が組んで何ができるのかを分析していた。

陽城市、電器街。

白川華怜は上着を脱ぎ、チャイナボタンのシャツだけを着て、車から降りると伸びをして、のんびりとエレベーターの標識を探した。一方、木村浩は鍵を持って車から降りた。

「こっちよ」白川華怜は真ん中まで歩いて来て、左側に顎を上げた。声は怠そうで、曲がり角のエレベーターを見つけていた。

スマートフォンが鳴り、前回の江渡からの電話だった。

相手が江渡大学の人間で、どう言っても同じ系統の出身でなければ、白川華怜はブロックしたいと思っていた。

「同級生」と電話の向こうの男性の声はすでに諦めていた。これほど長く説得しても動かせず、目を回して「アプリのトップ10記念品があるんだけど、住所を教えてくれたら送るよ?」

白川華怜は木村浩が近づいてくるのを待ちながら、笑って「結構です」と言った。