食卓で、宮山小町はグループチャットで写真を送っていた。
宮山小町:【おじいちゃんの服がほぼ出来上がったよ】
送信後、彼女は食卓の人々を見上げて、「おじいちゃんのクラスTシャツが出来上がったの。森園雄の分も取っておいたけど、来月の卒業写真には一緒に写れないね」と言った。
特に山田のことを考えると、15組の今の雰囲気は、山田と森園雄の二人の功績が大きかった。
卒業写真を撮るとなると、宮山小町は山田がいない15組は少し不完全な気がした。
山田の話題が出ると笑いながらも、宮山小町たちは皆このような心持ちでいるしかないことを知っていた。一年間の拘留は、高校生にとって精神的な影響が大きすぎるのだ。
「心配しないで」白川華怜は料理が運ばれてくるのを見て、取り箸で料理を取り分けながら言った。「貝塚ちゃんが森園雄のための横断幕を用意したって」
「横断幕?」森園雄の話題が出ると、雰囲気が再び賑やかになった。空沢康利は興味深そうに「どんな横断幕?貝塚ちゃんに何ができるの?あ、そういえば僕が彼の服を着て君たちと写真を撮ろうと思ってたんだ」
宮山小町はテーブルを叩きながら「そうだね、森園雄の大きな写真を印刷して顔に貼れば...」
若者たちは鍋を囲みながら、突然やってきた悩みもすぐに消えていった。
木村浩は静かにこれらの人々の会話を聞きながら、時々木村翼の取れない料理を取ってあげていた。彼らの会話を邪魔することはなかった。
白川華怜もぼんやりと聞いていた。
食事が終わると、宮山小町は店員を呼んでテーブルを片付けてもらった。
木村浩は白川華怜と同じ側に座っていた。左側が白川華怜で、右側が木村翼だった。食事が終わり、店員が余分な食器を下げた後、彼は白川華怜が図書館に戻って宿題をすると思っていた。
しかし白川華怜は帰らなかった。テーブルの他の人々はまだ卒業後のことについて話し合っていて、空沢康利は15組と一緒に写真を撮りたいと言っていた。
白川華怜もここにいたので、木村浩も急ぐことはなく、少し後ろに寄りかかって白川華怜に話しかけた。「みんなが卒業旅行の話をしているけど、考えたことある?」
卒業旅行?
「旅行したことある?」白川華怜はこの言葉を初めて聞いた。片手で缶コーラを開けて木村翼に渡しながら、顔を向けて木村浩を見た。
「ない」木村浩も行ったことがなかった。