宮山小町は箱をきつく包装していて、渡辺颯は少し苦労して開けると、中には本のような物が入っていて、さらに保護フィルムで包まれていた。
保護フィルム越しには中身がよく見えなかった。
松本章文は向こうの谷部風霧に挨拶をしながら、「彼女が本を送ってきたの?」と尋ねた。
これは白川華怜がしそうなことだった。
渡辺颯は更に手間をかけて保護フィルムを切り開くと、ついに表面が現れた。赤地に金文字で「招待状」と書かれ、その下には威風堂々とした白虎が描かれていた。
「招待状?」松本章文は脇に置いてあった赤ワインを手に取り、今日来た客人たちをもてなすために立ち上がりながら、何気なく一瞥して言った。「これはどんな招待状だ?白虎...ああ、白虎オークションのか」
何気なく言った一言だった。
言いかけて、彼は突然足を止めた。
そして「パン」という音を立ててワイングラスを置き、招待状から目を離さなかった。
これほど鮮明に心臓の鼓動を感じたことはなかった。喉が締め付けられ、声が震えた。「こ、これは...」
彼らは招待状を持っていなかったが、見たことはあった。
白虎オークションではほぼ全ての欲しい物が手に入る。時には商品があまりにも貴重で招待状の入手が難しいこともあったが、たいていの場合、渡辺家と松本家は公式ルートで一枚手に入れることができた。
だから一目見ただけで、これが彼らが今回必要としていた招待状だと分かった。
「これは白川さんが送ってきたのか?」松本章文は傍らのボロボロの箱を見て、さらに渡辺颯が手にしている控えめで神秘的な招待状を見て、喜劇を見ているような荒唐無稽さを感じた。
渡辺颯はすぐに携帯を取り出して白川華怜に電話をかけた。
一声で通話が繋がった。「華怜ちゃん、何を送ってきたの?」
白川華怜は丁度下校したところで、タピオカ店でドリンクを注文していた。遠山貴雲が彼女にケーキを一皿手渡しているところだった。
「招待状よ」彼女は遠山貴雲からケーキを受け取り、店内に向かって歩きながら、落ち着いた声で答えた。「ずっと探していたでしょう?どうかしたの?」
渡辺颯は「...いや、なんでもない」と答えた。
「そう」白川華怜は気軽な口調で言った。「他に用事ある?」
まるで「勉強の邪魔しないで」というような口調だった。
二人は電話を切った。