藤野院長:【引きこもり?】
彼は簡潔に言った。おそらく順子さんから高校入試前は新曲のことを考えないと聞いたのだろう。
白川華怜は一行を書き、イヤホンをブルートゥースで接続して、藤野院長の編曲を聴いた。
今回の彼女の曲は、これまでのスタイルとは異なり、中国風の一曲——
『寒時の綿』。
藤野院長は最初から琵琶の独奏を使い、薄いカーテンが半分巻き上げられたような、古風で落ち着いた、異国情緒豊かな音色で、最初の一秒で白川華怜に黄砂と枯骨の光景を見せた。
しばらく聴いてから、藤野院長に返信しなければと思い出した。
白川博:【1】
スマホの向こう。
藤野院長はこの「1」を見て、初めて木村浩と全く同じ無力感を感じた。
藤野院長は直接藤野悟志にメッセージを送り、白川華怜のことを尋ねた。藤野悟志は正直に白川華怜の近況を伝えた。勉強以外は勉強で、すべては高校入試後だという。