208特別待遇、白川明知が白川華怜と出会う_2

大学入試に関心を持つのは、主に子供や親戚が受験する家族で、社会人の大半はただSNSで関連動画を見かけた時に少し気にかける程度だ。

渡辺颯は試験のタイミングを見計らって白川華怜に合格祈願のメッセージを送り、試験後も彼女の出来を気にかけて声をかけた。

しかし、遠回しに聞いても何も分からない。彼女はいつものようにだらけた様子で、感情をほとんど表に出さなかった。

「うん」白川華怜は適当に髪を拭いて、リモコンを手に取ってテレビをつけた。

テレビの音を聞いて、渡辺颯は彼女の試験の出来が悪くなかったのだろうと推測して、笑いながら「じゃあ、いつ江渡に来るの?」と尋ねた。

最近、白川華怜に連絡する人はみんなこれを聞いてくる。彼女はチャンネルを変えながら「7月。具体的にはわからない」と答えた。

ホテルのテレビは自宅のとは違うようで、全部会員登録が必要だった。

白川華怜は何度かチャンネルを変えたが、どれも同じだった。

彼女はリモコンを投げ出した。

「7月?」渡辺颯は日程を計算した。当主の誕生日が7月にあるから、彼女が早めに来れば間に合うはずだ。「わかった。じゃあ江渡で待ってるよ」

電話を切ると、白川華怜はWeChatを開いて木村浩に聞いた。

白川くん:【[画像]】

白川くん:【?】

彼女は今では26キー入力に慣れていたが、それでも簡潔な表現を好んだ。

**

スマートフォンの向こう側。

今日は端午の節句で、研究所の半分のスタッフが帰省していた。木村浩はまだ忙しく、メッセージに気付いたのは10分後だった。

彼は左手で記録ノートを持ち、右手でその上に文字を書き連ねていた。

流れるような美しい文字。

オフィスに向かって歩きながら、放射線防護服が弧を描いて揺れていた。

デスクに着くと、彼は何気なく記録ノートを机の上に置き、冷めた表情で後ろについてきた中年男性を見もせずに、スマートフォンを手に取って「基準値なし」と言った。

木村坊ちゃまは誰に対しても取り繕うことを嫌っていた。実験室でも木村家でも同じだった。

彼が決定権を握っており、彼の部署に人を送り込むのは至難の業だった。

高橋家でさえ手を焼いていた。