208 特別待遇、白川明知が白川華怜と出くわす_3

ホテルには朝食バイキングがあり、昨夜藤野信勝が白川華怜に七時に22階で朝食を取ると伝えていた。

白川華怜は「早いですね」と一言返し、それからカートを見下ろした。

カートには朝食の他に紫砂茶壺があり、白川華怜は手を伸ばして隣の白い磁器の茶壺にお茶を注ぎ、どんなお茶かわかったので、給仕係に食事を並べさせた。「ありがとう」

「どういたしまして、白川さん」紀伊達夫は白川華怜に名刺を渡しながら言った。「昨夜は遅い時間のチェックインでしたので、お邪魔しませんでしたが、何かございましたらお気軽にお電話ください」

「はい」白川華怜は丁寧に受け取った。

下を見ると、紀伊達夫、総支配人と書かれていた。

部屋の中で、主任がバルコニーのテーブルに朝食を並べながら、白川華怜に非常に丁寧に言った。「白川さん、何かございましたら内線の1番を押してください」