山城ホテル。
北区音楽学院の校長は手に茶箱を持って、恭しく5615号室のドアを押した。
藤野信勝は静かな環境を好むため、彼は一人で訪問し、音楽協会や学校の大勢の人々を連れてこなかった。
部屋は廊下の突き当たりにあり、足元には柔らかいカーペットが敷かれていた。周りに誰もいなくても、北区音楽学院の校長は非常に敬意を持った態度を保っていた。
ドアはすぐに内側から開いた。
人を見て、北区音楽学院の校長は丁寧に挨拶した。「間宮助手。」
「馬場校長。」間宮さんは軽く頷いて、馬場校長を通すために横に寄った。
藤野院長が予約した部屋も小さなスイートルームで、来客の便宜を図るためだった。彼は白川華怜との会話を終えて、部屋に戻ってからしばらく、小さなリビングと寝室を見回ったが、ウェルカムフルーツとティーバッグしかなく、お茶は見当たらなかった。