210と謎の親友との出会い、プレゼント

山城ホテル。

北区音楽学院の校長は手に茶箱を持って、恭しく5615号室のドアを押した。

藤野信勝は静かな環境を好むため、彼は一人で訪問し、音楽協会や学校の大勢の人々を連れてこなかった。

部屋は廊下の突き当たりにあり、足元には柔らかいカーペットが敷かれていた。周りに誰もいなくても、北区音楽学院の校長は非常に敬意を持った態度を保っていた。

ドアはすぐに内側から開いた。

人を見て、北区音楽学院の校長は丁寧に挨拶した。「間宮助手。」

「馬場校長。」間宮さんは軽く頷いて、馬場校長を通すために横に寄った。

藤野院長が予約した部屋も小さなスイートルームで、来客の便宜を図るためだった。彼は白川華怜との会話を終えて、部屋に戻ってからしばらく、小さなリビングと寝室を見回ったが、ウェルカムフルーツとティーバッグしかなく、お茶は見当たらなかった。

彼はサービスの電話を押して、ホテルのスタッフにお茶を持ってくるよう頼んだ。

「お茶ですか?」ホテルのスタッフも意外そうだったが、お客様のご要望なので必ず対応すると答えた。「かしこまりました。少々お待ちください。」

馬場校長は彼が電話を切るのを見て、ようやく贈り物の箱を置き、恭しく言った。「藤野お爺さん、こちらがご要望のチケットです。VIP席の最前列になります。」

彼はチケットを差し出した。

心の中で驚いた。藤野信勝はこのチケットを誰のために用意しているのだろうか?

長年の付き合いで、初めて彼がチケットを要求したのだ。

「ご面倒をおかけしました。」藤野信勝はチケットを受け取った。

「毎年北区でボランティア公演をしていただけるのは、北区の幸せです」と馬場校長は真剣に言った。「このチケット以外に、他にご要望はございますか?」

藤野信勝は藤野家が好きではなかったが、故郷への愛は変わらなかった。

毎年一度は必ず訪れており、前回は去年の十月だった。

「もうありません。皆さん緊張する必要はありません。彼女が来るかどうかもまだわかりませんから。」藤野院長は気が重そうだった。白川華怜はまだ来るかどうかわからないのだ。

彼は少し憂鬱そうだった。

馬場校長は目を伏せ、心の中で驚いた。この「彼女」とは誰なのだろう?

藤野院長が「彼女」が来るかどうかを心配しているなんて。