前回陽城市に行った後、彼は秘書を一人解雇し、側近の間宮さんだけが残った。
しかし間宮さんも藤野院長が誰と電話をしているのか分からなかった。院長の口調からして、ただの一般人ではないようだった。
山城ホテル。
藤野院長がチェックインを済ませた時には、すでに6時だった。
彼の部屋は56階だったが、まず部屋には戻らず、直接11階の白川華怜を訪ねた。
「なぜ低層階に泊まっているんだ?」藤野院長は入室後、何気なく尋ねた。
階が低いほど、眺めは悪くなる。
白川華怜は答えた:「少し高所恐怖症なので。」
藤野院長の後ろについてきた間宮さんは、こんなに美しい白川華怜を見て、学校で録音に来た白鳥春姫よりも綺麗だと思った。別のスターなのだろうか?
間宮さんは心の中で考えを巡らせた。
藤野院長が来たのは彼女の作曲のためで、リビングのテーブルに座ると、白川華怜を急かした:「作曲を見せてくれ。」