江渡大学の夜はいつも賑やかだった。
試験が終わっても帰らない人がいて、夜は人が多く、特にこの銅像広場は常に賑わっていた。
渡辺文寺は白川華怜が一列目の銅像をじっと見つめているのを見ても、特に不思議に思わなかった。
さすがに江渡大学の創設者と大先輩だけあって、校長も雨の日も風の日も参拝に来ていた。
傍らには安藤蘭と渡辺お婆さんが巨石の下に立っていた。深褐色の巨石は高さ4.17メートル、幅9.82メートルで、最も左側には「江渡大学」という四文字が刻まれ、その下には「名誉校友」という小さな四文字があった。
それぞれの名前は大学の歴史に刻まれることになる。
かつての山田文雄は首席で江渡大学に合格したものの誰にも注目されず、指導教官に卒業を遅らされたが、名誉校友となった後、江渡大学全体を席巻した。
名誉校友となれる人のほとんどは江渡の人々で、幼い頃から一流の教育を受け、他人がまだ123を学んでいる時に、彼らは両親や年長者の影響を受けながら、様々な夏期講習や講座に参加していた。
山田文雄のような例は極めて稀だった。
渡辺執事は渡辺お婆さんの後ろについて、「ここは知能の天井ですね」と感慨深げに言った。
彼らがまだその巨石を見ている間、渡辺文寺は見慣れていたので平気で、白川華怜に尋ねた。「他の場所も見て回りますか?うちの大学の図書館はとても大きくて、蔵書も多いし、食堂が七つもあって……」
「結構です」白川華怜は視線を戻して言った。「また今度本を読みに来ます」
彼女は江渡大学の図書館について聞いていた。蔵書が多く、良い場所だと。
白川華怜は江渡大学に対して本当に全く興味を示さず、スマートフォンすら取り出さなかった。
前回江渡に来た時も大学には来なかったので、渡辺文寺は入学するまで来ないと思っていたが、今回江渡に来てすぐに訪れるとは予想外だった。
一行が食事に向かう準備をする中、白川華怜と渡辺文寺は後ろで話をしていたが、二人が何を話しているのか他の人には分からなかった。
渡辺お婆さんは渡辺泉と前を歩きながら話をした。「笹美があの三郎に会ったそうよ」
「渡辺坊ちゃまですか?」渡辺泉の表情が微かに動いた。