渡辺文寺の指先がまだ「enter」キーの上に止まっていた。
白川華怜の言葉を聞きながら、彼は少し考え込んで、カーソルを田中宏司の名前の下に「白川華怜」という二文字を入力した。
江渡大学のキャンパスネットワークは常に安定していて、画面上の透明な小さな円が回転した後、「登録完了」という青い楷書体の文字が表示された。
「課題は明後日の午後3時に発表されて、指導教員も選ばないといけない」登録を終えた後、渡辺文寺は白川華怜に詳細を説明した。「参加期間は3日間だ……」
白川華怜は頷いた。
彼女はこのようなコンペの流れに慣れていなかった。
三人の食事はすぐに終わった。
渡辺文寺は白川華怜に自習室で数学モデリングコンペについて勉強しようと誘ったが、白川華怜は横目で見て、目を少し細めて「やめておくわ、先に資料を印刷してくるから」と言った。
「学校に印刷室があるよ」と田中宏司が言った。「前の方にある」
白川華怜は江渡大学の印刷室を知っていたが、文献資料は木場院長のものだったので、少し考えて「家で印刷するわ」と言った。
田中宏司は食堂の入り口に立って白川華怜が去っていくのを見ながら「何を印刷するんだろう?」と尋ねた。
「たぶん量が多いんじゃない?」渡辺文寺は気にせずに言った。「印刷室は人が多すぎるし」
「そうだね」7月初めの太陽の光が強く、田中宏司は頷いて、さっきのことを思い出した。「本当に彼女を加えたの?」
「うん」渡辺文寺は申し訳なさそうに田中宏司を見た。「心配しないで、彼女は私たちの進度を遅らせたりしないよ」
チームにはまだ田中宏司がいて、他のどの新入生でも渡辺文寺は加入を認めなかっただろうが、この人は白川華怜だった。
渡辺文寺は以前空港で見かけた木場院長のことを思い出した。
木場院長に認められ、personally見送られるほどだから、白川華怜には必ず何か特別な才能があるはずだと彼は知っていた。
「いやいや、大したことないよ。君の方が大変になるね。斉藤俊介がいないから、僕たち二人でモデル設計を分担しないといけないし」田中宏司は渡辺文寺の肩を抱きながら、気にしていない様子を見せた。