225 これは彼女の支配区域_3

宮山小町は紙を受け取り、目と鼻を拭いて「ああ」と言った。

白川華怜は立ち上がり、宮山小町に自由に過ごすように合図をして、二冊の楽理の本を書斎に持って行った。

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書斎で、白川華怜は本を机の上に置き、右の引き出しを開けると、そこには雪村真白が置いていった煙草の箱があった。

彼女は何気なく一本取り出した。

ライターを手に取り、窓辺に行って窓を全開にし、腕を窓台に無造作に置いた。細長い煙草を指の間に挟み、煙が彼女の顔を曖昧にした。

一階では人々が出入りを繰り返していた。

この方向からは一階の数平方メートルの小さな庭園が見え、作業員たちが力を合わせて石のテーブルを運び出していた。

携帯電話で、ななからメッセージが届いた。

白川華怜は下を向いて一瞥した。

なな:【誰かが雪村真白の情報を探っています】

江渡で最も情報が豊富な場所は間違いなく青龍バーという無法地帯だった。

ここで彼らの情報を探ろうとする者は、必然的にななの手を経ることになる。

白川華怜は誰が雪村真白の情報を欲しがっているのか、すぐに察した。

白川華怜:【適当に少し渡して】

返信を終えると、携帯をそのまま脇に置き、手を窓台に無造作に置いたまま、煙草を咥えて下階の人々の忙しそうな様子を眺めていた。

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ドアの外。

宮山小町はテレビを見ながら、両親とビデオ通話をして、江渡に到着したことを伝えていた。

ドアの外から音が聞こえ、宮山小町は携帯を持って立ち上がり、「華怜さんのところにお客さんが来たみたいです。切ります」と言った。

電話を切り、ドアを開けようとした時、ドアが自動的に開いた。

ドアの外には背の高い人影があり、鼻梁にはインテリ風の縁なし眼鏡を掛け、左手を下ろしながら、冷淡な眼差しを眼鏡越しに宮山小町に向けていた。

生まれながらの気品があり、どんなに簡素な黒い服装でも隠しきれないものだった。

数日ぶりに木村浩を見た宮山小町は思わず一歩後ずさりした。

木村浩の後ろから、木村翼が入ってきた。

宮山小町はとりさんを見て、やっと安堵し、木村浩に挨拶した:「木村さん」

「ん」木村浩は適当に返事をして入ってきた。目がホールに置かれているテレビに留まり、ドアノブに置いていた手が一瞬止まってから、視線を戻した。