宮山小町は紙を受け取り、目と鼻を拭いて「ああ」と言った。
白川華怜は立ち上がり、宮山小町に自由に過ごすように合図をして、二冊の楽理の本を書斎に持って行った。
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書斎で、白川華怜は本を机の上に置き、右の引き出しを開けると、そこには雪村真白が置いていった煙草の箱があった。
彼女は何気なく一本取り出した。
ライターを手に取り、窓辺に行って窓を全開にし、腕を窓台に無造作に置いた。細長い煙草を指の間に挟み、煙が彼女の顔を曖昧にした。
一階では人々が出入りを繰り返していた。
この方向からは一階の数平方メートルの小さな庭園が見え、作業員たちが力を合わせて石のテーブルを運び出していた。
携帯電話で、ななからメッセージが届いた。
白川華怜は下を向いて一瞥した。
なな:【誰かが雪村真白の情報を探っています】