江渡の老舗では、毎日の朝食メニューは時間と数量限定で、持ち帰りも配達もできない。
以前、彼は斉藤笹美と二回食べに行ったが、そこの有名な蟹味噌入り小籠包を食べることができなかった。
今では新しいビジネスを展開し、デリバリーを始めた。
「後輩、なぜ自分のパソコンを持ってきたの?」田中宏司はソフトを開き、渡辺文寺の回帰結果を確認しながら言った。「学校のパソコンは全部興新の高性能機で、私たちの持ち込みパソコンより使いやすいよ。matソフトが使えるのは実習室のパソコンだけで...」
これはモデリングで最も一般的に使用されるソフトウェアで、多くの種類のグラフを描くことができる。
このソフトは国内製ではなく、一般公開されておらず、国際協定により江渡大学の実習室でのみ使用が許可されているため、モデリングを学ぶ学生たちはほとんど実習室から離れることができない。
外部では確かにクラックバージョンがあるが、機能が不完全だ。
江渡で工業化学を学ぶ学生たちは皆知っている。江渡は常に最も設備が整い、最先端の場所であり、それこそが多くの人々がこの学校に入りたがる理由だ。
田中宏司が横を向くと、ちょうど白川華怜のパソコンに青と赤のアイコンが見えた。まさにmatソフトだった。「...」
クラックバージョン?
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白川華怜は学校の実習室に夜遅くまで残らなかった。
10時になると彼女は階下に降りた。
木村浩の車は計算機棟の下ではなく、人通りの少ない交差点に停まっていた。今日は白川華怜が見たことのない銀色のセダンだった。
彼女は助手席に座り、パソコンを適当に膝の上に置き、シートベルトを締めた。
木村浩はだらしなく手をハンドルに置き、長い指で一回、また一回とハンドルを叩きながら、もう一方の手でBluetoothイヤホンの電源を切った。
車を発進させることもない。
彼は白いシャツを着て、袖口を適当に一回まくり上げ、手首の腕時計が見えていた。
横顔はますます冷たく見えた。
白川華怜は一瞬躊躇し、言葉を選びながら「どうしたの?」と聞いた。
「山田文雄を指導教官にしたのか」木村浩は深刻な口調で言い、少し横目で見た。長い睫毛が下がり、その淡い瞳を隠した。いつも人を寄せ付けない表情の彼の顔に、今は少し非難めいた様子が浮かんでいた。
白川華怜は下書き用紙を取る手を止めた。