田中宏司は携帯を取り出して渡辺文寺に渡し、「早く、1号館と一緒に写真を撮って!」
写真を撮り終わると、田中宏司はため息をついた。
山田先輩と白川華怜の会話を聞いただけで、今年の新入生のことを心配になってきた。
「そういえば」田中宏司は何かを思い出したように渡辺文寺の肩を叩いた。「渡辺さん、君よく山田先輩と話せるね。僕なんか目を合わせる勇気もないよ。バカだと思われそうで。」
渡辺文寺は今回答えず、携帯を取り出して確認した。グループで白川華怜が二枚の紙を送ってきていた。
鏡像距離を計算するように言われていた。
「パソコン室に行こう」渡辺文寺は振り向いた。
時間が迫っていた。
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海山マンション。
宮山小町は深夜2時に水を飲みに起きた。顔を上げると、白川華怜の書斎のドア隙間から光が漏れていた。
彼女はテーブルに寄りかかって水を飲み干した。書斎から話し声が聞こえてきたような気がした。
水を飲み終わって、静かにゲストルームに戻った。ベッドサイドテーブルの上の携帯はまだ光っていて、15組のグループチャットではまだ大勢が起きていた。
森園雄は体育委員をメンションして、サポートが下手だと文句を言っていた。
大学入試センター試験の後、クラスの生徒たちは数日間だらけていたが、また活発になってきた。山田は更生が良好で刑期が短縮され、9月中旬には出所できるという。
森園雄は彼が出所する前に技術を磨くと宣言していた。
翌朝早朝5時。
海山マンション11棟の下。
ワゴン車が止まり、二人の男が降りてきた。携帯を確認して間違いないことを確かめてから、それぞれ木箱を持って建物の中に入っていった。
301号室の前。
先頭の中年男性は背筋をピンと伸ばし、恭しくインターホンを押した。
一度だけで、ドアが開いた。極めて冷酷な表情の男性が出てきた。瞳は冷たい星のようだった。
中年男性は目を合わせる勇気もなく、ただ恭しく腰を曲げた。「明石さん、おはようございます。」
明石真治は手を上げた。「それを。」
中年男性はすぐに手の食箱を相手に渡した。
明石真治は食箱を中に持ち込んだ。301号室は303号室と似た間取りだが、リビングの方が少し広かった。携帯で時間を確認してから、食箱を開けて中の精巧な点心を一つずつ並べた。
白川華怜は5時10分に出てきた。