電話の向こうの受付係は羽田彦名の声をすぐに聞き分け、胸が高鳴った。「今日は山田隊長が当番で、喧嘩の事件が一件だけあります。」
「山田義明?」山田隊長と聞いて、羽田彦名はすぐに誰のことかわかった。
山田義明は、彼が重用していた部下で、署内の幹部のほとんどが高く評価しており、今年警視に昇進させる予定だった。
順風満帆な道のりで、羽田彦名も彼を育成することを喜んでいた。
しかし、こんな日にミスを犯すとは思いもよらなかった。
羽田彦名は車を大通りに向けて走らせた。
通常の拘留なら、保釈金を払えば出られるはずで、普通なら何も問題は起きないはずだが、先ほどの石川校長の話を聞いて、羽田彦名は山田義明が今日は馬鹿なことをしでかしたと悟った!
拘留して、保釈の機会も与えない。
羽田彦名は受付係の説明を聞いて背筋が寒くなった。今回うまく処理できなければ、分署全体が上から下まで大きな人事異動になることを知っていた。