白川華怜の部屋で、彼女はすでにシャワーを済ませていた。
部屋着に着替え、タオルで髪を拭いていた。彼女はドライヤーを使うのが好きではなかった。
ななからちょうど電話がかかってきた。
「姉さん、出てきましたか?」ななは病院の正面玄関の外で、入院棟を見上げながら、片手にコーヒーを持っていた。スポーツウェア姿で、清潔感があり上品だった。
伊藤満が彼の後ろに立ち、周りを見回していた。
「うん」白川華怜は部屋の窓を開け、「彼女を見つけた?」
「昏睡状態です」ななは看護師に尋ねていた、「一度目を覚ましましたが、まだ意識がはっきりしていません。あと二日ほどかかりますが、危険はありません」
白川華怜は窓際のテーブルに寄りかかり、外を見つめながら、「分署に小山晶子という女性警官がいる」
「分かりました」ななは電話を切り、立ち去った。
「分かったって?何が分かったの?」後ろから、伊藤満が追いかけて、「姉さんはまだ話し終わってないんじゃ?小山晶子という人物を、個別に調査するってこと?」
白川華怜となな、伊藤満はしばしば二人の思考についていけなかった。
「ローズクラブのオーナーと一杯やってきて」ななはコーヒーを一口飲み、空の紙コップを近くのゴミ箱に投げ入れ、穏やかに言った。
ローズクラブは、白川華怜が渡辺千月を探しに行ったクラブだ。
伊藤満はいつも事情が分からなかった、「僕が?」
「うん」ななは車の後部座席のドアを開け、丁寧に説明した、「気張らなくていい、彼が何を聞いてきても答えればいい」
伊藤満は江渡にもしばらく滞在していて、ななは単なる従業員だが、伊藤満は確かに江渡の青龍バーの責任者だった。
大野孝次の養子として、現在も大野孝次から重用されている。
格闘場のエースとして、彼が気を抜けば——
闇社会を渡り歩く者と変わらなくなる。
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海山マンション。
白川華怜は携帯を見ながら、ゆっくりと髪を拭いていた。
彼女は石川雄也にメッセージを送った:【松山院長は明日時間ありますか?】
時間は遅かったが、石川雄也は帰宅したばかりでまだ休んでいなかった。白川華怜からのメッセージを受け取り、少し意外に思った。
今夜の出来事は危険なものだったので、彼は白川華怜に数日休ませたいと思っていたが、帰宅してすぐにメッセージが来るとは思わなかった。