入ってきたとき、白川華怜がソファーに座っているのが見えた。彼女は少し後ろに寄りかかり、とてもリラックスした姿勢だった。
「先に食事をしよう」彼は携帯を置き、テーブルの方へ歩いていった。テーブルの上には精巧な木箱が置かれており、彼は食事箱の蓋を開けた。
蓋を開けると、中からスープの湯気が立ち上り、彼の冷たい眉目を曇らせた。
渡辺颯が外から慎重に入ってきたとき、白川華怜がゆっくりと食事をしているのが見え、木村浩が彼女の隣に座って気軽に話しかけていた。
彼が入ってくるのを見て、木村浩は淡々と一瞥を送った。
渡辺颯の心が締め付けられた。
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午前二時。
302号室。
木村浩の書斎で、彼は電気を消さず、パソコンだけをつけていた。画面にはクラブの監視カメラ映像が映し出され、彼は冷ややかな目で吉田宏隆の手にあるグラスを見つめていた。