231 江渡に集まり、大シャッフル_4

これは0147番、スキンヘッドの中田正で、善人と喧嘩したことがある。

「今日出所するんじゃないのか?」山田は座りながら、三角関数を暗記しつつ、ミシンを踏んでいた。

「出る前にご挨拶に来ました」中田正はまだ服を着替えていなかった。彼は山田の後ろに立って肩をもみながら言った。「江渡でお待ちしています。江渡に来られたら、すぐに連絡してください」

中田正の実家は江渡にあった。当初、家族は彼を黒水通りに逃がしたが、最後の一歩で陽城市で逮捕されてしまった。

その一方で。

島田凜がアルバイトをしているホテルにて。

彼女はテーブルを拭く動作を止め、奥田幸香を見上げた。「何とおっしゃいましたか?」

「江渡よ。お姉さんは江渡にいるわ」奥田幸香は分厚い封筒を彼女の手に置いた。「お父さんが投獄された後、彼女は私にあなたの医療費を渡して去っていったの。それ以来会っていないけど、でも私はずっと...あなたなら彼女を見つけられると思うの」

奥田幸香が去った後、島田凜は今日の食器を洗い終え、キッチンも綺麗に掃除した。

最後にフロントに向かった。

女将は頭を下げたまま帳簿をつけており、顔も上げずに百元札を一枚テーブルに置いた。「はい」

「女将さん」島田凜はお金を取らなかった。「明日から来ません」

彼女は臨時雇用で、契約書はなかった。

女将は顔を上げた。「生活費は貯まったの?」

室内を通り抜ける風が、島田凜の重たい前髪を少し持ち上げ、静かな黒い瞳を覗かせた。彼女は江渡の方向を見つめながら言った。「学校の奨学金で足りています」

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雲翔区。

156番バス。

白川華怜は窓際の席に座っており、隣には老婦人がいた。

窓の外では、またもサイレンを鳴らしたパトカーが疾走していった。

「警察ねぇ」老婦人は隣の人に話しかけた。「また警察車両よ。今朝から十数台も見たわ」

バスの乗客たちは皆この件について話し合っていた。一般市民はこういった出来事に興味津々なものだ。

今日はSNSニュースも雲翔区の異変について報道していた。

数カ所の道路が封鎖され、各娯楽施設は全て休業して検査に協力し、一般市民は物珍しそうに眺めていた。

「ピンポーン」

バスが停車した。雲翔区中央病院停留所。

白川華怜は降車した。

病院の入り口にもパトカーが2台停まっていた。