233上京、集結_2

藤野院長はノートを横のテーブルに置くと、突然何かを思い出したように「江渡音楽大学を撮影してみない?」と尋ねた。

「江渡音楽大学……」宮山小町の手が止まった。先ほどエレベーターを出た時にあの二枚の絵を見て、特別な考えが浮かんでいた。

江渡音楽大学は歴史ある由緒正しい学校だった。

二人が話している。

傍らで現場唯一の子供に牛乳を渡そうとしていた間宮さんの手が震えた。白川華怜についてはまだ理解できた。当時彼女の身分を察していたからだ。

しかし——

藤野信勝を「藤野お爺さん」と呼んだこの女の子は誰なのか?

彼は無意識に手の中の牛乳を握りしめ、宮山小町の後ろ姿を見つめた。

宮山小町は新しい動画の可能性を考えていたが、振り向くと間宮さんと木村翼が牛乳パックの上部と下部をそれぞれ握っているのが目に入った。