江渡での別れ以来、白井沙耶香と松木皆斗は白川華怜に会っていなかった。
彼らは白川華怜が白川家に戻ってくるかもしれない、白川家で会えるかもしれない、あるいは江渡大学で会えるかもしれないと考えていた……
江渡音楽学院の建物以外のどこでも。
安藤蘭は当時、白川華怜を全面的に発展させようとし、3歳の頃からスケッチを始めさせ、その後才能がないことが分かると、ピアノや絵画を学ばせようとした……
二人はようやく気持ちを立て直し、意図的に大学入試のことを忘れようとしていた。
しかし、まったく準備もないまま白川華怜に会うことになるとは思わなかった。
「お、お姉さん」白井沙耶香の隣にいた女子学生は白川華怜に話しかける勇気がなく、宮山小町に話しかけた。「三階に行くんですか?」
エレベーターのドアが閉まり、宮山小町は手を下ろして彼女に微笑んだ。「はい」