中村優香は外の車に目を向け、思わず携帯を取り出してこっそり数枚写真を撮った。
望月綾瀬は横目でそれを見て、密かに首を振った。
従業員は数人を中堂に案内し、とても丁寧に言った。「中堂は若い方々向けで、隣が休憩室です。望月さん、どうぞごゆっくりお休みください。」
そう言いながら、彼は望月綾瀬にリストと渡辺家の屋敷の地図を半分渡した。今日公開される庭園の案内図だった。
中村優香はこんなに大きな庭園に入るのは初めてで、これまでは観光地でしか見たことがなかった。
「こちらは私の弟です」望月綾瀬は横にいる中年男性に安藤秀秋を紹介した。
中年男性は安藤秀秋に手を差し出した。
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江渡駅。
白川華怜は駅で1時間待ち、10時近くになってようやく島田凜が到着した。彼女は列車を乗り換え、さらに新幹線に乗ってきた。