233上京、集結_4

中村優香は外の車に目を向け、思わず携帯を取り出してこっそり数枚写真を撮った。

望月綾瀬は横目でそれを見て、密かに首を振った。

従業員は数人を中堂に案内し、とても丁寧に言った。「中堂は若い方々向けで、隣が休憩室です。望月さん、どうぞごゆっくりお休みください。」

そう言いながら、彼は望月綾瀬にリストと渡辺家の屋敷の地図を半分渡した。今日公開される庭園の案内図だった。

中村優香はこんなに大きな庭園に入るのは初めてで、これまでは観光地でしか見たことがなかった。

「こちらは私の弟です」望月綾瀬は横にいる中年男性に安藤秀秋を紹介した。

中年男性は安藤秀秋に手を差し出した。

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江渡駅。

白川華怜は駅で1時間待ち、10時近くになってようやく島田凜が到着した。彼女は列車を乗り換え、さらに新幹線に乗ってきた。

島田凜はいつも通り制服を着ており、黒い古びたスーツケースの中には本が大半を占めていた。

彼女はいつものように長いTシャツを着て、習慣的に手首と腕を隠し、額には厚い前髪があり、その漆黒の瞳を隠していた。群衆の中では、ほとんど存在感がなかった。

これは彼女が生まれ持った才能のようで、自分の存在感を最大限に消し去ることができた。

「行きましょう」白川華怜は彼女のスーツケースを持った。

彼女はいつも直接的だった。

島田凜はすでに場所を選んでおり、入学までは富田区に住むことにしていた。

白川華怜はスーツケースをタクシーのトランクに入れ、島田凜に乗るように合図した。

タクシー運転手は親切で、「お嬢さんたち、どちらまで?」と聞いた。

「江渡大学です」白川華怜は島田凜と後部座席に座った。

「観光ですか...」タクシー運転手は彼女たちが江渡大学を訪れるだけだと思い、道中ずっと江渡の美食を紹介していた。「旧通りはご存知ですよね。あそこはSNSで人気のスポットですが、人が多すぎるのでお勧めしません...」

江渡大通りに到着。

白川華怜はQRコードを読み取り、島田凜のスーツケースを持って降りた。

宮山小町はすでに江渡大学の門前で待っていた。日傘を差しながら、遠くから手を振った。「華怜さん、島田凜、こっちです!」

三人は正門に向かい、白川華怜は学生証を出してすぐに入った。