江渡大学では、この数日間新入生は授業がなく、軍事訓練は2年生になってからだ。
「そう、あなたと同じ白姓で、白井沙耶香っていうの」近藤希美は白川華怜が彼女の側に来たのを見て、小声で説明した。「彼女の兄の先生は私たちの学部長の教え子だそうよ」
白川華怜は少し顔を上げると、ちょうど向かいの白井沙耶香と目が合った。
白川沙耶香は学校で多くの友人を作っていたが、白川華怜を見ても何も言わなかった。
白川華怜は視線を外し、近藤希美に挨拶をして407号室へ向かった。
「また今度お話ししましょう」近藤希美は状況が少しおかしいと感じ、白井沙耶香に微笑んで、白川華怜を追いかけて407号室に戻った。
部屋の中で、白川華怜はパソコンと印刷した文献を机の上に置き、さらに木村浩が持たせてくれた小さな多肉植物も机の上に置いた。