木村浩は相変わらず怠惰そうに傍らに立ち、片手には白川華怜の本を持って無造作に丸めていた。少し俯いた表情は、いつものように静かだった。
彼らの集まりを邪魔することはなかった。
「特に贈るものはないんだが」空沢康利は自分の高校三年生の間違い集を山田に渡し、「ほら、これが兄貴からの遺産だ」
山田はその重い遺産を受け取った。
島田凜は新鮮な、まだ水滴の付いたユリの花を山田に手渡した。
学年一の優等生よりも冷たい前の席の人からプレゼントをもらい、山田は恐縮した。
二つのプレゼントを受け取った彼は、突然冷淡に立っている木村浩に視線を向けた。「木村さん...」
木村浩は片手をポケットに入れたまま、その言葉を聞いて薄い瞳を彼に向けた。
空沢康利は山田のこの様子に驚いた。
やはり一年間の刑務所生活を経験した人は違う、木村先生に向かって土をかけるなんて。彼は急いで山田の腕を掴んだ。「行こう行こう、この一年間どんな伝説を作ったのか、どうして数ヶ月も減刑されたのか聞かせてくれよ」