255 多才な華怜(2)_2

空沢康利は大野純也に友好的に挨拶し、伊田晴彦から本を受け取った。「これが君たちの言っていた本か...」

5冊、見覚えのあるエメラルドグリーンの表紙、白地に文字が書かれている——

『江渡大学物理学』

下に主編:木村浩。

空沢康利は見覚えのある名前を見た途端、言葉が途中で止まった。

空沢康利がその本を見つめているのを見て、伊田晴彦は彼がその本に興味を持っていると思い、思わず声を低くして言った。「この本のことは知ってるだろう?私たち学部生だけが見られるんだ。中の実験の多くは本院のものだよ。僕たちは高校3年生の時に国立集合学院で既に終わらせてる。君たちは頑張ってついていかないとね。」

「いや、この本の主編が...」

「シーッ」伊田晴彦は他の教授のことは饒舌に語るのに、明らかにこれには忌避感があった。彼は立ち上がって、「授業が始まるよ。君たちはまずこの物理の本に慣れておいて。」