吉田実里と近藤希美は明石真治に会ったことがなかったが、吉田実里は近藤希美よりも落ち着いていて、明石真治に「ありがとうございます」と礼を言った。
明石真治は二人に軽く頷いて実験棟へ向かった。彼が江渡大学に来たのはミルクティーを届けるだけでなく、木村浩のために書類も届けなければならなかったからだ。
ただし、先に白川華怜の代わりにルームメイトにミルクティーを届けた。
黒い車が走り去った。
近藤希美はようやく吉田実里に話しかける勇気が出た。彼女はビニール袋を握りしめながら「吉田さん、さっきの人、ドラマに出てくるヤクザみたいだったね」と言った。
明石真治は木村浩の側で長く過ごし、特別な訓練も受けており、実際に血を見たことがある。
その威圧感は明らかだった。
周りの大学生とは一線を画していた。