一目見ただけで木場院長が出したものだとわかった。
彼はポケットに片手を入れ、白川華怜が書いた要約と結論を見て、目が洗われたような気がした。「よく書けている」
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火曜日の朝は木場院長の授業だった。
伊田晴彦たちはすっかり空沢康利と親しくなっており、朝早くからA4用紙を持って407教室に来ていた。今日は木場院長に解答を提出する日だった。
彼は特に白川華怜と空沢康利たちを入り口で待っていた。
「大野純也、問題はどうだった?」伊田晴彦は入るなり、高橋隼の隣に座っている大野純也のところへ行った。数人が小声で何かを話し合っていた。
白川華怜と伊田晴彦を見て、彼らは会話を止め、挨拶をした。
大野純也は立ち上がって説明した。「まったく手がかりがない」
伊田晴彦の表情が微かに変化した。大野純也は彼らのグループの天才だったが、ここ数日は本田直哉と空沢康利が木場院長のトポロジーの問題についての理解を共有していたのに対し、大野純也はほとんど発言していなかった。