267雪山を一緒に見に行きませんか?(2更)_3

田中局長は彼女を知っていた。望月綾瀬は当然、最近雲翔区のトップニュースを飾る政治家である田中局長のことをよく知っていた。

田中家が送り出した新星だ。

望月綾瀬はさておき、渡辺家と田中家だけでも、田中長邦に関する宴会に参加したがる人々が数え切れないほどいた。

望月綾瀬は富田区のような場所で田中局長に会うとは思わなかったので、彼女でさえも一瞬呆然として我に返った:「田中さん、お目にかかれて光栄です。」

二人はあまりにも形式的だった。

安藤宗次は手すりのところに立ったまま、目を伏せてハゼを見つめ、時折顔を向けて田中局長と話をしていた。

望月綾瀬は傍らに立ち、聞いて心が震えた。田中長邦の今の田中家での地位は田中北実と比べられるほどなのに、なぜ安藤宗次にこれほど敬意を示すのか?