明石真治は周囲を見渡し、二人の安全を確保していた。
「行きましょう」安藤宗次は飴細工を木村翼に渡し、彼の小さなバッグを持って、前の交差点で車に乗ることにした。
二人とも今日は白川華怜の公演を見に行くことになっていた。
この時間帯は道路が少し渋滞していたので、海山マンションには戻らず、直接江渡大学の大講堂へ向かうことにした。
宮山小町は今日の午後は授業がなく、水島亜美と一緒に、すでに江渡大学大講堂に到着していた。
安藤宗次と木村翼のために席を確保していた。
まだ5時前だったが、大講堂はすでに人で溢れていた。
宮山小町が確保したのは左側の席で、首にビデオカメラを下げていた彼女は、安藤宗次と木村翼を見つけると立ち上がって二人に手を振った。「おじいちゃん、ここよ!」
「ここは賑やかですね」水島亜美は江渡大学に来るのは珍しく、大講堂の外に掛かっている「江渡大学金融学部」「江渡大学物理学部」の赤い横断幕を見て、自然と壮大な感覚と誇りを感じた。
通り過ぎる学生一人一人が国の柱石だった。
そして彼女の姪もその一人だった。
大講堂は広く、同時に千人以上を収容できる。前方は舞台で、座席は舞台を中心に放射状に広がっていた。
公演はまだ始まっておらず、隣のスピーカーからポップミュージックが流れていた。
安藤宗次は隣に座り、木村翼のバッグを自分の膝の上に置き、木村翼は彼の隣に座って、飴細工を小さく少しずつ食べていた。
**
外では、松木皆斗と白井沙耶香も到着していた。
白井沙耶香は今日、高級なドレスを着ていた。紫色のドレスで白い鎖骨を露わにし、凛とした表情で、謙虚でありながら気品のある様子。庶子とはいえ、母親が幼い頃から教えたマナーは申し分なかった。
松木奥様は白井沙耶香を賞賛の目で見て、頷いた。「このドレスが似合うと言ったでしょう」
二人は松木奥様を連れて中に入った。
松木皆斗は金融学部の学生会で優れた成績を収めており、学生会は中央の前二列の席を確保していた。二列目は学生会の重要なメンバーのために用意され、当然松木皆斗二人の分も確保されていた。
この時点で、最前列にはすでに大半の人が着席していた。
最前列は幹部や投資家のために確保されていた。
横には二つの撮影用の席が用意され、記者もすでに到着しており、会場は大変賑わっていた。