274白川博の神様、慕様が仏堂から出る(2話合併)_4

転籍したということは、本当に望月家の人間になったということですね。望月家のような大きな基業で、彼らに残される財産は数え切れないほどです。

「蘭香と一緒に」望月綾瀬も蟹の小籠包を箸で取りました。

一口かじると、汁が溢れ出し、蟹味噌の旨み、蟹肉の繊細さ、スープの深い味わいに、数々の美食を経験してきた望月綾瀬でさえ、一瞬で魅了されました。

前回、望月綾芽が望月家を訪れた時、この季節の蟹について不満を漏らしていました。

毎年、江渡からこの界隈に提供される物は限られており、食材もお茶菓子も、望月家は実際ここ数年配分を受けていませんでした。高橋家は山を背にしているので、まだ少しは手に入れることができていました。

望月綾芽が持ってきた時、望月綾瀬はお爺さまに一つ、安藤宗次に一つだけ渡しました。