「学校で用事があったんだ。夜は何を食べたの?」木村浩が近づき、床に散らばった紙を一枚一枚拾い上げる姿は、清らかで優雅だった。
新しい大学院生の募集が始まろうとしていた。学校側は彼に新しい研究員を二人追加で受け入れるかどうか聞きたかったが、誰も彼に言い出す勇気がなかった。
彼の下で働くには、山田文雄のような天才でない限り、彼のペースについていける人は少なかった。頭の悪い人とは話が通じず、木村坊ちゃまは一目見るだけでも嫌がるのだった。
「おじいちゃんたちが釣った魚よ。今日は田中局長が料理してくれたの」白川華怜はまだライターを弄びながら、彼が物を整理して隣の本棚に丁寧に置くのを見ていた。「叔母さんがあなたに二匹取っておいてくれたわ。明日はスープも持ってくるって」
「ああ」木村浩はほとんどの事に大きな関心を示さなかった。