278 白井奈月も好んで使う手(2/2)

これは彼らの書道の素養を対外的に示すもので、書道協会だけを代表するものではありません。

慎重に、さらに慎重に。

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望月家。

中村優香と藤川雄介が戻ってきたとき、門の外の四つの赤い提灯がすでに灯されていた。

ぼんやりとした灯りの下、安藤秀秋が誰かと話をしているのが見えた。

鏑木執事が安藤秀秋の後ろに立っていた。

近づくと、中村優香と藤川雄介の二人は非常に礼儀正しく丁寧に安藤秀秋に挨拶をしたが、安藤秀秋は二人に対していつも通り冷淡で、わずかに頷いただけで、その後も男性との会話を続けた。

彼がその男性と話をするときの表情は、明らかにずっと穏やかだった。

藤川雄介は無意識に向かい側の人を見た。その男性は若く見え、黒いフリースパーカーを着ているだけで、全体的な雰囲気も温和で穏やかで、スケッチブックを持ってどこでも即興で絵が描けそうな芸術家のようだった。