293まるで先祖そっくり!

海山マンション。

白川華怜がメッセージを送り終え、花瓶から枯れたバラを取り出したとき、ななと伊藤満も到着した。

「雪村さんは来ないの?」白川華怜は椅子を引いて座り、背もたれに寄りかかりながら、手に持った枯れたバラの枝を無造作にいじっていた。

ななは最近の養生堂のプロジェクトを彼女に見せながら、「司門区の新店舗にいます」と答えた。

江渡に来たばかりの頃、雪村真白はよく白川華怜の部屋に来て、様々な物を買い揃えてくれていたが、ここ数ヶ月は海山マンションに来なくなっていた。

最近は酒場にも行かなくなっていた。

養生堂に行くのが好きで、時々佐藤俊英から漢方医学を学んでいた。

司門区に養生堂の支店が新しく開店し、ななたちは手が回らず、雪村真白は雲翔区の仕事を一時中断して、最近は司門区にいて、ななもめったに会えなくなっていた。