パラジウムは高価で希少であり、江渡大学でさえ、短期間でこれほどの量を集めることはできない。
上原文隆と彼の生徒たち5人は、このパラジウムの山を見て、何も言えなかった。
空沢康利は彼らが長時間出てこないのを見て、ドアをノックし、とても丁寧に「草刈先輩、私のデータを見ていただけますか?」と声をかけた。
ドアが開いた。
草刈先輩は非常に茫然とした表情をしていた。
空沢康利は机の上に置かれた銀白色の金属を見たが、あまり気にせずに「イリジウムですか?」と何気なく聞いた。
イリジウム。
パラジウムは金の数倍の価値があり、イリジウムはパラジウムよりもさらに貴重な金属で、各研究室や基地で不足している金属だった。
「あ、」草刈先輩は一瞬戸惑い、説明した。「後輩、これはパラジウムで、イリジウムじゃないんだ。後輩が研究室に寄付してくれたんだけど、30キロもあって、こんなに多くて……」