上原文隆はこのプロジェクトを数年間研究してきた。
国内の研究室の大半は超伝導の研究をニッケルベースで行っており、パラジウムの研究は少なかったが、上原文隆のチームのシミュレーション計算結果はすでにこの可能性を予測していた。
しかしパラジウムは貴金属で、実験チームの年間使用量には制限があった。
江渡大学は従来から国内の大学の中で最も豊富な資源を持っており、各研究室に対して寛容で、パラジウムも毎年各研究室に配分されていたが、上原文隆にとってはそれでは全く足りなかった。
チームメンバーが無事卒業できるよう、彼は毎年黄原院長に窮状を訴えていた。
ただし国内の金属は常に不足しており、資源は限られていて、上原文隆は学長でもどうすることもできないことを知っていた。
彼らはパラジウムをグラム単位で使用していた。