290 長槍が風浪を破り、筆を執りて鋒芒を試す_4

白川華怜は携帯を持ちながら、黄原院長に電話を返した。

「具体的にどの研究室に配属するかまだ決めていないんだが」黄原院長は焦る様子もなく、「木場院長の研究室に直接行くのはどうだ?きっと喜ぶと思うが」

黄原院長は自分の恩師のことをよく分かっていた。木村翼が六歳の時、木場院長は彼を研究室に引き込もうとしたのだ。

「まだその時期ではありません」白川華怜は答えた。

黄原院長もそうだと思い、「じゃあ、今晩いくつかの候補リストを送るから、君に合いそうなところを見てみてくれ」

彼は今回、白川華怜により良い雰囲気の研究センターを見つけられることを願っていた。

電話を切り、白川華怜は階下に降りた。

明石真治が階下で彼女を待っていた。白川華怜が文化広場のレストランに行くと確認すると、彼は直接車を走らせた。