残りのパラジウムはまだ70斤ほどあった。
一つ一つが同じ大きさで、銀白色の金属面に、それぞれ周期表の形が刻まれていた。
その時、Paという二つの文字が目に入った。
どの元素か即座には分からなかったが、46、106.42という数字から周期表の金属元素だと推測した。
非常に整然と並べられていた。
渡辺颯は一つ手に取り、手のひらで弄びながら、下に刻まれた単語を読んだ。「palladium、守護神?」
鏡面の反射に、宮山小町が振り返り、目を細めて見て、二文字を認識した。「これはパラジウムよ。」
パラジウム?
渡辺颯は高校時代に明石真治と特訓を受け、高校一年から三年まで、ぼんやりと過ごした後、やっとそれらから解放され、大学では木村錦と共に金融業界に飛び込み、物理や化学から遠ざかっていた。
人工衛星の角速度周期やこれらの化学元素はとうに忘れていた。