299 賑やかな江渡、伊藤満から届いたパラジウム（2）

康羽亭は江渡で有名な老舗だ。

デザートは数量限定で持ち帰り不可、その精緻さが売りだ。

予約も取りづらく、厚田おばあさまは何度か訪れたことがあり、とても印象に残っている。

康羽亭の菓子と聞いて、おばあさまは目を細めて注意深く見つめた。康羽亭の菓子は模倣が難しく、特にこのような本物そっくりの砂糖細工の梅の花は、江渡でもこれほどの技術を持つ人は少ない。

厚田おばあさまは一目で、これが確かに康羽亭のデザートで、しかもVIP限定のものだと分かった。

「これは...」おばあさまは急に元気になり、厚田家に持ち帰られたこの菓子を見つめながら、すぐに姿勢を正して言った。「加藤くんを呼んでください。」

加藤くんは、今日厚田千夏を送り出した運転手だ。

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渡辺家。

厚田千夏が帰った後すぐに、白川華怜も帰っていった。