第25章 瑛真は誰

仁藤心春の体が急に震え、うつむいたまま、小さな声で「ごめんなさい」と言った。

秋山瑛真は笑って言った。「君が私に謝ることなんて何もないよ。むしろ私が君に感謝すべきだ。君のおかげで人の心の裏表を知ることができた。表面的には優しく接してくれる人でも、実は単なる代替品として扱っているだけかもしれない。でも今日からは、私を代替品として見ないでほしい。私は村上悠臣じゃない！」

仁藤心春が社長室を出た時、頭の中にはまだ秋山瑛真の声が響いていた。

代替品……

あの時、母は温井おじさんが亡くなって三ヶ月後に秋山おじさまと知り合い、同棲を始めた。

そして彼女は、卿介の幼なじみである秋山瑛真と出会った。

ただし、卿介とは違って、秋山瑛真は明るく陽気で、少し反抗的な面もあり、最初は彼女と母のことを好きではなかった。