第41章 私の借りはまだ返していない

「仁藤心春、まさかお前がこんな裏で手を回すような人間だとは思わなかったぞ!」そう言うと、彼は秋山瑛真に向かって言った。「秋山会長、これは誤解があると思います。我が社には強力な研究開発力があり、仁藤心春が持っている特許権がなくても、すぐに市場で人気の新商品を開発できます!」

「そうですか?でもここ数年、仁藤心春があなたの会社の研究開発部門を主導してきたのではないですか?」秋山瑛真は物憂げに言った。

「彼女は素人で、他人の研究開発の成果にただ便乗していただけです。以前は恋人同士という関係上、黙認していましたが、まさか別れた後に、彼女がこれらの特許権を利用して裏で手を回し、我が社の能力を誤解させて、自分の出世のために利用するとは思いませんでした!」山田流真は憤然として言った。

仁藤心春は、かつて愛していたこの男を冷ややかな目で見つめた。

そうか、彼女がこの数年間苦労して製品を開発し、さらには複数の専門課程を受講し、国内外のアロマに関する大量の書籍を読み漁り、自分の専門知識の不足を補うために努力してきたのに、彼はそんな風に彼女の研究開発製品を見ていたのだ。

彼女のすべての努力は、この男の目には一笔で消し去れるものであり、さらには他人の研究開発成果を横取りする小人だと見なされていたのだ!

山田流真が仁藤心春に対して執拗に中傷を続ける中、秋山瑛真は芝居でも見るかのようにその様子を眺めていた。

「そうそう、盛和株式会社の小宮社長が突然我が社との契約を解除したのも、お前の仕業だろう。お前でなければ、確実だった契約を向こうが自ら解除するはずがない」

実際には島田書雅が配車サービスで問題を起こし、小宮社長の怒りを買ったのだが、この時、山田流真はすべての責任を仁藤心春に押し付け、さらにそう考えれば考えるほど確信を深めていった。

仁藤心春は一瞬驚き、小宮社長がその契約を解除したことを初めて知った。

「仁藤心春、なぜそんなに卑劣なんだ。書雅が営業部長としてお前の後任になったからって、こんな風に彼女の足を引っ張らなければならないのか?」山田流真は怒りを込めて言った。