第45章 もつれ合う

仁藤心春が顔を上げると、若い女性が彼女の前に駆け寄り、叫んでいるのが見えた。

若い女性は濃いメイクをしており、全身ブランドのロゴ入りの服を着ていて、まるで自分がお金持ちだということを誰もが知るべきだと言わんばかりだった!

「あなた誰?」山本綾音は遠慮なく声を上げた。

「山田瑶音よ、山田流真の妹」と仁藤心春が答えた。

そして山田瑶音の隣には、年配の女性が立っていた。それは山田兄妹の母親だった。

さらに、島田書雅も彼らと一緒にいた。

仁藤心春は、こんな組み合わせを見ることになるとは思ってもみなかった。

「仁藤心春、あなたって恥知らずね。わざと野男に兄の手首を折らせたの?兄があなたと別れたからって?」山田瑶音は憤慨して言った。

山本綾音は驚いて、仁藤心春の方を向いて小声で尋ねた。「あなたの卿介さんがやったの?」