第46章 逆転の制裁

仁藤心春一行は喧嘩で警察署に連行された。

仁藤心春と山本綾音の体には数カ所の引っ掻き傷があったが、山田母娘の方がもっと酷い状態だった。

仁藤心春側が優勢だったのは、山本綾音の戦闘力のおかげだった。幼い頃、体が弱かったため、両親に連れられて、テコンドーや総合格闘技など、様々なスポーツを習っていた。体を鍛えながら、格闘技の腕前も上がっていた。

「私...私は通報します!」山田お母さんは警察署で叫んだ。「警察官さん、この二人は私たち母娘をひどく殴ったんです!」

「私の服やバッグ、それに携帯電話も弁償してもらいます...これら全部ブランド品で、かなりの金額になりますよ!」山田瑶音は憤慨して言った。新しく買ったばかりの服装が台無しになり、最も残念なのは、一万円以上もする限定版の靴だった。

今や靴には足跡だらけで、もう履けたものではない!

山本綾音は冷ややかに鼻を鳴らした。「何を弁償するんですか。先に手を出したのはあなたたちでしょう。警察も言ったように、これは相互の暴力行為です。本当に誰が悪いかを論じるなら、先に手を出した方が悪いんです!」

これが...相互の暴力行為?

傍らにいた島田書雅は口角を引きつらせながら、山田母娘を見た。今や二人とも顔中あざだらけだ。

一方、仁藤心春と山本綾音は数カ所の引っ掻き傷だけで、特に仁藤心春の怪我は更に少なかった!

山田母娘は本当に役立たずだ。やるなら仁藤心春をもっと重傷にすべきだったのに!

「どう言い訳しても、今より重傷なのは山田おばさんと瑶音です。特に山田おばさんは年配なのに、どうしてそんな手荒な真似ができるんですか?」島田書雅は山田母娘を擁護するような態度で言った。「仁藤心春、山本綾音、おばさんと瑶音に謝罪して、全ての損害と医療費を賠償しない限り、私たちは絶対に調停に応じません!」

仁藤心春は少し眉をひそめた。島田書雅は自信満々に続けた。「私はさっき弁護士の友人に確認しましたが、おばさんと瑶音が怪我の診断書を取れば、相互の暴力行為でも、あなたたち二人を行政拘留できます!そうなれば前科がつきますよ!」

仁藤心春は自分に前科がつくことを気にしていなかった。どうせ一年も生きられないのだから。