第65章 欺かれたのは誰

大和田浩翔は突然、可笑しい気持ちになった。

島田書雅が仁藤心春に及ばないのは、誰の目にも明らかなことだった!

書雅が開発したという新製品はさておき、彼女の営業部での最近の実績だけを見ても、心春とは雲泥の差があった!

「山田君、君が書雅のことを好きなのは分かる。でも、公私混同は避けてほしい。書雅が今の仕事に適しているかどうか、よく考えてほしい。後で会社に何か問題が起きてから後悔しても遅いからね」大和田浩翔は真剣な面持ちで言った。

山田流真は眉をひそめた。「浩翔、それはどういう意味だ?書雅が会社に問題を起こすとでも?友人だからって、書雅の悪口を言われるのは心外だ。彼女だって会社のために一生懸命やっているんだ!」

親友が書雅を必死に擁護する様子を見て、大和田浩翔はため息をつき、これ以上言っても無駄だと悟った。

「分かった。後悔しないことを願うよ」と彼は言った。

以前、山田が心春のためにここまで弁護したことなどあっただろうか?

心春が会社のために懸命に残業している姿を思い出し、大和田浩翔は突然、心春が報われていないことに心を痛めた。

かつて、心春が弁当を持って急いで一口食べたり、会社で床に寝たりする姿を何度も目にしていた。

一方、書雅は毎日ブランド品を着替え、勤務時間中に買い物をし、高級レストランに出入りしている。

山田は今、書雅にこのような贅沢な生活を与えることができる。しかし、将来はどうだろう?もし会社が上手くいかなくなり、山田がこのような生活を書雅に提供できなくなったら、書雅は山田と一緒にいたいと思うだろうか?

大和田浩翔は以前、山田が書雅に捨てられた場面を目撃していた。

あの時、書雅が山田の実家が田舎で貧しいことを嫌っていたことを知った。書雅が山田を見る目は、まるでヒキガエルを見るかのように、軽蔑に満ちていた!

しかし今日では、山田にお金があるというだけで、第三者として山田と心春の間に割り込むことも厭わない。

この感情に、どれほどの真実があるのか、神のみぞ知る!

大和田浩翔がオフィスを出ると、山田は唇を固く結んだ。後悔なんてしない、書雅と一緒にいることこそが、自分の望む人生なのだから!

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仁藤心春は病院での再診があったため、会社に休暇を申請した。

しかし病院に行く前に、まず山本綾音のスタジオに立ち寄った。