第79章 私は望まない

「私のことが嫌いだと?本当にそうなのか?」彼は彼女を見つめながら言った。「昨夜はまだ私のことが大好きだと言っていたのに、今は嫌いだと。お姉さんは私が信じると思うのか?」

「何よ、当事者の私以上に私の気持ちがわかるというの?」仁藤心春は嘲笑うように言った。「もう好きじゃないわ。かつて山田流真のことを好きじゃなくなったように」

彼は眉をひそめた。彼女が何度も繰り返す「好きじゃない」という言葉は、鋭い棘のように彼の心を刺し続け、痛みを与えていた。

なぜ痛むのだろう?

なぜ彼女の言葉が気になるのだろう?

以前は、誰かが彼の目の前で死ねと罵っても平気だったはずなのに。

しかし今は、彼女の「好きじゃない」という一言だけで、こんなにも痛むなんて!

「じゃあ、本当に私のことが嫌いになったのかどうか、試してみようか」彼の言葉が終わるや否や、彼の唇が強く彼女の唇を押さえつけた。