第131章 なりふり構わず

秋山瑛真の車がゆっくりと走り去った。

仁藤心春はその場に立ち尽くし、心は荒涼としていた。

血液がんを患っていると知った時でさえ、彼女は本当の絶望がどういうものか分からなかった。でも今…全ての希望が一瞬で打ち砕かれる、そんな感覚を初めて理解した。

彼女は…悠仁を救うための時間をまた無駄にしてしまった!

本当は悠仁をしっかり守りたかった。少なくとも自分が生きている間は、悠仁を守れるはずだった。

でも今は、それすらもできないのか?

「大丈夫…ですか?」傍らの警備員は、仁藤心春の顔が青ざめ、今にも倒れそうな様子を見て、思わず尋ねた。

彼女は悲しげに微笑んだ。「大丈夫です」

振り返って、一歩一歩自分の停めてある車に向かって歩き始めた。どうすれば悠仁を救えるのだろう?

誰に頼めばいいの?