第151章 探り合い

坂下倩乃は社長室の外にある秘書デスクの前で落ち着かない様子でいた。

仁藤心春がオフィスに入ってからしばらく経っていたが、まだ出てこないことで、坂下倩乃の心配は増すばかりだった。もし心春が何気なく話してしまい、秋山瑛真が本当の支援者が心春だったことに気付いてしまったらと不安だった!

坂下倩乃が極度の苦悩に耐えているとき、ついにオフィスのドアが開き、心春が出てきた。

坂下倩乃は突然立ち上がり、「心春、瑛真との話は終わった?」

仁藤心春は冷ややかに坂下倩乃を一瞥した。相手が秋山瑛真のことを「瑛真」と呼ぶのは、まるで秋山瑛真との関係が特別であることを暗に示しているかのようだった。

しかし、坂下倩乃と秋山瑛真の関係がどうであれ、もう自分には関係のないことだった。

彼女は契約を果たすことだけに集中すればよかった!

「終わったわ」と心春は答えた。

「瑛真と...何を話したの?」坂下倩乃は躊躇いながら尋ねた。

「どうして?私の仕事のことにそんなに興味があるの?坂下秘書が知りたいなら、自分で秋山会長に聞けばいいでしょう」と心春は言った。

坂下倩乃は無理に笑みを浮かべ、「心春、私たち以前は誤解や対立があったけど、今はみんなGGKで働いているんだから、うまく付き合っていけたらいいなと思うの」

「ええ」と心春は淡々と答えた。

坂下倩乃の言葉を信じてはいなかったが、表面上の付き合いは必要だった。

「書雅から聞いたんだけど、瑛真があなたを指名してGGKに来るように言ったって。その...あなたと瑛真は以前から何か関係があったの?」坂下倩乃は慎重に探りを入れた。

仁藤心春は坂下倩乃を見つめ、「私と彼に何か関係があったとして、あなたには関係ないでしょう?」

「気になっただけよ。同級生だったし、あの時あなたが見知らぬ人に支援をした時、私も...その、一緒に支援したじゃない!」坂下倩乃は意図的にそう言った。

そう言えば、それは彼女が心春の見知らぬ人への支援を発見し、心春を嘲笑い侮辱したときのことだった。

「はは、アルバイトしている身分で、よく人を支援しようなんて考えるわね。ほら、みんなに見せてあげましょう、いくら寄付したのかしら」

彼女は心春の寄付証明書をクラスのグループに投稿し、グループ内で彼女を皮肉り続けた。