仁藤心春は目を上げて坂下倩乃を見つめた。「どうして、私の個人的なことにそんなに関心があるの?」
「私はただGGKの評判に影響が出ないことを願っているだけよ。さっきの人は山田流真の母親と妹でしょう?あなたに会いに来たということは、きっと流真に関係があるはず。今、流真は島田書雅と付き合っていて、公の場でプロポーズまでしたのよ。もしあなたが第三者になるようなことがあれば、GGKにまで影響が及ぶことになるわ」と坂下倩乃は意味ありげに言った。
「坂下さんこそ、自分の評判がGGKに影響を及ぼさないか心配すべきじゃないの?以前、あなたの家が資金繰りに困って、高利の借金を抱えていたって聞いたわ。同級生からお金を借りまくって、でも後で意図的に姿を消して返さなかったんでしょう?」と心春は言い返した。