第168章 再会の人

仁藤心春は急いで自分のオフィスに戻り、部下に指示を出した。「急用があって今すぐ出かけなければならないの。会社で何か緊急の用事があったら、私の携帯に電話してください」

そう言うと、彼女は慌ただしくGGKを後にした。

彼女が探せるのは、記憶の中の秋山おじさまが好んで行っていた場所だけだった。

しかし、あれだけの年月が経っている。人は変わるものだし、好みも変わるもの。秋山おじさまは本当にそんな場所に行っているのだろうか?

でも、可能性の有無に関わらず、探してみなければ気が済まない。

それに、先ほどの瑛真の電話の口調からすると、秋山おじさまの介護者たちが目を離してしまい、おじさまが姿を消してしまったようだ。それは何か厄介なことになりそうだった。瑛真は秋山おじさまに電話をかけ直すこともなく、介護者たちに秋山おじさまへの電話を試みたかどうかも確認していなかった。

ということは...秋山おじさまは携帯電話を持っていないということ?

秋山おじさまにとって、携帯電話を持つ必要がないということなのか?その理由は?

次々と浮かぶ疑問が、心春の頭の中を駆け巡った。

かつて秋山おじさまが好んで行っていた場所の中には、今も残っているところもあれば、都市開発によってすでに消えてしまったところもある。

結局、それだけの年月が経っているのだから。

まだ存在している場所を一つ一つ訪ねてみたものの、結局は失望に終わり、秋山おじさまを見つけることはできなかった。

瑛真は秋山おじさまを見つけられたのだろうか、心春はそう考えながら車を走らせていた。

しかし、ある通りを通り過ぎる時、突然ある考えが頭に浮かび、すぐにハンドルを切り返して別の方向へと向かった。

数分後、車は古びた建物の前に停まり、心春は車を降りて、その老朽化した建物をじっと見つめた。

この建物にはもう誰も住んでおらず、外壁には大きく「取壊」の文字が書かれていた。

取り壊し待ちの古い建物なので、管理する人もおらず、この一帯は異常なほど静かだった。

ここは...かつて彼女と母親が秋山おじさまと瑛真と一緒に暮らしていた場所。

かつての彼女が「家」だと思っていた場所。

そしてこの「家」で、母は自分と結婚したがっていた秋山おじさまを騙し、おじさまの全財産を持ち逃げしたのだ!