第168章 再会の人

仁藤心春は急いで自分のオフィスに戻り、部下に指示を出した。「急用があって今すぐ出かけなければならないの。会社で何か緊急の用事があったら、私の携帯に電話してください」

そう言うと、彼女は慌ただしくGGKを後にした。

彼女が探せるのは、記憶の中の秋山おじさまが好んで行っていた場所だけだった。

しかし、あれだけの年月が経っている。人は変わるものだし、好みも変わるもの。秋山おじさまは本当にそんな場所に行っているのだろうか?

でも、可能性の有無に関わらず、探してみなければ気が済まない。

それに、先ほどの瑛真の電話の口調からすると、秋山おじさまの介護者たちが目を離してしまい、おじさまが姿を消してしまったようだ。それは何か厄介なことになりそうだった。瑛真は秋山おじさまに電話をかけ直すこともなく、介護者たちに秋山おじさまへの電話を試みたかどうかも確認していなかった。