第185章 3人の女の喧嘩

山本綾音は淡々と言った。「知りたくないわ。あなたのお兄さんと私には何の関係もないから、彼がどうなったかなんて知る必要もないわ」

一度切るべきなら、徹底的に切るべきだ。彼に関する情報を一切聞かないことで、初めて心が落ち着くのだから。

「まさか、あなたがそんなに冷酷だとは思わなかったわ、山本綾音。お兄さんのことが好きじゃないなら、もっと婉曲な理由で断ればよかったのに。でも、あなたは直接お兄さんの足のことを嫌うなんて。何?片足が不自由だから、あなたには相応しくないって言うの?」温井澄蓮は冷笑した。「そのうち、あなたの両足が不自由になったら、誰が誰に相応しくないか、見てみましょう」

傍らで聞いていた仁藤心春は、心が凍りついた。やはり温井家の人間は狂っている。温井澄蓮が塩浜市で噂になっていた事件も、ただの恋人の浮気で、直接恋人を病院送りにしただけの、ゴシップニュースのような騒動に過ぎなかったのに。