第183章 とても嬉しい

仁藤心春は一瞬戸惑った。彼は……そんな漫画柄のカップを使いたいの?

うーん、どう考えても彼の気品ある雰囲気とは合わないような気がするけど!

でも彼が言い出したからには、残りの2つのカップについて、仁藤心春はもちろん承諾した。「あなたが気に入ったなら、使ってください」

彼は微笑んで、「お姉さんが買ってくれたものなら、何でも好きです」

仁藤心春は目の前で優しく微笑む温井卿介を見つめた。こんな美しい顔で、そんな言葉を言われたら、本当に心がときめいてしまいそうだ。

でも……今の彼女にはもうそんな感情は芽生えない!

うつむいて、仁藤心春は油を熱して料理を作り始めた。

今夜のメニューは、おかず三品とスープ一品。

最後にスープの具材を鍋に入れて、蓋をした瞬間、背後から腕が彼女を抱きしめた。