第176章 一緒に警察署へ

仁藤心春は馬鹿ではないので、相手が意図的にトラブルを起こしているのが分かっていた。

「ショッピングモールの監視カメラを確認すれば、綾音があなたの指輪を盗んでいないことが分かるはずです!」と仁藤心春は言った。

「このショッピングモールは温井家の所有物よ。監視カメラはちょうど故障していたの」と神谷妍音は無関心そうに言った。

そしてショッピングモールの幹部たちが前に出てきて、その中の一人がすでに警察に通報していた。

「温井夫人、警察がすぐに到着します」

同時に、警備員たちに仁藤心春と山本綾音を取り囲ませ、まるで彼女たちが逃げ出すことを恐れているかのようだった。

仁藤心春は目の前の荒唐無稽な光景を見つめていた。明らかにみんなこの温井夫人が嘘をついていることを知っていながら、ただ綾音を困らせるためだけに。