それは冷たい眼差しだった。彼女は彼を見ていたが、ただ見ているだけのようで、彼は彼女にとって、もはや何でもなくなったかのようだった。
秋山瑛真は眉をひそめ、心臓の痛みが再び徐々に湧き上がってきた。
なぜこうなってしまったのだろう?
なぜ彼女の一つの眼差しで、こんなにも痛むのだろう?!
古川山は契約書を再び秋山瑛真の前に差し出し、秋山瑛真は署名した。
契約書の署名が全て完了し、三部作成された。
山田流真は契約書を手に取り、目に喜びを隠しきれず、「ありがとうございます、秋山会長」と何度も繰り返した。
秋山瑛真は苛立たしげに「坂下秘書、山田会長たちを案内してください」と言った。
坂下倩乃は承諾し、立ち上がって山田流真と島田書雅を案内した。
秋山瑛真も退室しようとした時、仁藤心春が突然声を上げた。「特許権を川島企業に使用させたのは、坂下倩乃のためですか?」
秋山瑛真の足が止まり、仁藤心春の方を振り向いた。
本当に坂下倩乃のためだったのか?
実は坂下倩乃が彼に話した時、彼はまだ迷っていた。ただ坂下倩乃が以前彼に恩があったため、検討すると約束したのだ。
そしてその時、彼は彼女が同意しなければ、特許権を諦めてこの件を断ろうと考えていた。
しかし彼女と温井卿介がキスをしているシーンを思い出すと、その瞬間、彼の元々の考えは全て乱れてしまったかのようだった……
「そうだ」今、彼はそう答えた。
「坂下倩乃があなたの恩人だからですか?」彼女は尋ねた。
「そうだ。彼女は私の恩人だ。私が最も落ちぶれ、最も困難な時に、彼女は私を助けてくれた。私をあの泥沼から這い上がらせてくれた。しかしお前は、お前の母親と一緒に私と父を泥沼に突き落としたんだ!」彼は言った。
この言葉は、彼女に向けられただけでなく、自分自身にも向けられていた!
そうだ、彼と父の不幸は、彼女も無関係ではない。彼女は共犯者だ。だから彼は彼女を気にする必要はない。彼女の一つの眼差しで悲しむ必要もないし、痛みを感じる必要もない!
仁藤心春は淡く笑い、この答えを聞いても意外には思わなかった。また、予想していたような悲しみや痛みも感じなかった。
それは彼女がもう彼に期待を持たなくなったからだろう。
もう過去に戻ることを夢見ることもなく、彼が彼女への憎しみを手放すことも期待していない。